コロナ禍にあって患者数をJ字回復させた梅華会小児科統括の宇野浩史先生
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兵庫県内に4つの耳鼻咽喉科クリニックと3つの小児科クリニック、合わせて7つの分院を展開する「医療法人梅華会」の中から、「エビスタうめはなこどもクリニック」の院長で同時に小児科統括として小児科院の全体マネジメントを行う宇野浩史先生にお話を伺いました。コロナウイルス感染の影響をうけて、全国の他の小児科同様に2020年度上半期は大幅減収となったものの、その厳しい時期を乗り越え、2020年度下半期からはコロナ前の収益を上回っている状態が続いています。逆境を乗り越えJ字回復させた“極意”に迫りました。

ー いつもお世話になっており、ありがとうございます。小児科でコロナ禍前の収益まで回復しているクリニックが少ない中、宇野先生のところはコロナ禍前を上回る収益になっていてすごいですね!いきなりですが、「CLINIC BOARD」をどのようにご利用されているのですか?

 私は、2018年11月に新規開院した「エビスタうめはなこどもクリニック」の院長として梅華会に入職しました。私が入職した時点では小児科部門は既存の耳鼻科部門に比べると患者数が伸び悩んでいて、法人全体としては足を引っ張っていたと言ってもいいかも知れません。私自身には小児科医として耳鼻科に劣らない良質な医療を提供していけるという自負がありましたので、開院数か月後から全院の情報を「CLINIC BOARD」で徹底的に分析を行いました。「CLINIC BOARD」には単に医業収益だけ追っていたのでは分からない細かい年齢分布や受診病名、再診率などが視覚的にわかりやすく示されているので、小児科として遡求していくべき患者さんは一体どういった層で何を求めているかを明確にすることができました。そして、それにより耳鼻科とは異なる患者さんとの関わり方が必要であることを強く感じ、患者さんに小児科でしか与えられない価値を提供することを意識して診療に取り組むようにしました。おかげで、半年ほどで患者数は部門トップとなり、就任から1年後には小児科部門統括として小児科全体のマネジメントを任していただくことになりました。しかし、まもなくコロナの流行もあり、法人全体の売上が低下する中で小児科院1院の閉院も余儀なくされ、これから小児科部門を盛り上げようとしていたところだったので忸怩たる思いではありました。

梅華会は耳鼻科でスタートして発展した法人ですので、耳鼻科診療の流れを最適化できるような仕組み作りがなされていますが、そのまま小児科にあてはめられないこともあります。今は患者さんの満足度を上げていけるように、小児科診療にフィットした最適なオペレーション構築をすべく試行錯誤中です。

ー そうなんですね。具体的に耳鼻科の最適化オペレーションとはどのようなものなのですか?

 耳鼻科はいわゆる処置が中心となる科なので、医師が処置を効率的に行えるような仕組み作りが重要です。しかし、小児科では医師とのコミュニケーション時間が満足度に大きく関わってきます。なので、医師の診療を効率的に流していくオペレーションをしてもあまり意味がないと思っています。例えば、耳鼻科はチェーン型飲食店、小児科は小料理屋のようなイメージがわかりやすいかもしれません。

ーセグメントを切って、ターゲティングし、そのターゲットが満足する施策と対応をする、まさにマーケティングですね。

 一般的に小児科を受診する患者さんの意識はコロナ禍前後で大きく変わってきていると思います。コロナ禍前は受診閾値は低く、症状がでたらコンビニ的にいつでも見てもらえて早くお薬ももらえて、のようなイメージです。コロナ禍にあっては、電話再診やオンライン診療などの診療チャネルが増えたこともあり、クリニックをわざわざ受診する人には来院するに至ったそれなりの動機があるはずです。そこで必要とされるのはコンビニ診療で薬を早くもらえるではなく、受診に至った心配や不安を解決してもらったという感覚です。来院してもらうに見合う価値を医療者として患者さんに提供していくということ心掛けがコロナ禍における小児科診療に一番必要とされることだと考えています。
 こういったことは結果的に、再診率とかリピート率に跳ね返ってくるので、そこを「CLINIC BOARD」で追跡しています。

ー 「CLINIC BOARD」では再診率とリピート率を特に確認されてるんですね。

 はい。これらが今の小児科クリニックのKSF(key success factor)だと考えているからです。
 他には、法人の7分院の比較からの気づきもあります。耳鼻科と小児科ではともに季節変動の影響を大きく受ける科ですが、その季節は微妙に異なっています。法人全体で考えれば、耳鼻科と小児科のお互いの季節変動を補い合えるような連携の構築を行うことは、スタッフなどのリソースの最適化につながると思いますね。

ー 自院だけではなく、小児科院ひいては法人全体として“組織の最適化”ということですね。こんなに成功しているように見えていますが、その上でさらに課題が明確になっているというのが素晴らしいですね。質問は変わりますが、「CLINIC BOARD」の魅力はどんなところにあるとお考えですか?

 クリニック用のBIソフトというのがすごい良いですね。他にはないですよね?
診療は数値化しにくいので、はっきりと数値で出てくることにより、自分が介入しなければいけないことが明確になり、課題意識がしっかりもてるところが非常にいいところだと思います。先ほども言いましたが、単体ではなく7院、ここもっとあげられるなとか課題が見つけやすくなるのもいい点ですね。多院展開をされている法人には非常に有用なツールなのではないでしょうか。

ー ありがとうございます。それでは、「CLINIC BOARD」に期待すること(要望やほしい機能など)があれば教えてください。

「CLINIC BOARD」では定量的な評価をしますが、地域の状況や競合クリニックなど個々のクリニックで全く違ってくると思います。そういう意味で全国の定量的な平均値と比べても答えは見えてこないと思います。自身のクリニックが置かれている定性的な条件を分析した上で、問題解決のための仮説を設定して行動に移し、その評価を定量的に「CLINIC BOARD」で行うのが良いのではないかと思います。ですので、「CLINIC BOARD」の質の高い定量情報に、クリニック独特の定性情報も結び付けられればなお良いですね。ここが結びついてこそ初めて患者さんの本質的な満足度の向上につながると考えています。これからの「CLINIC BOARD」に期待しています。

ーとても貴重なご意見をいただきありがとうございました。今後も先生のアドバイスをいただきながら、一緒にCLINIC BOARDを進化させていきたいと考えています。引き続きのご協力をよろしくお願いいたします。本日は本当にありがとうございました。




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